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数学Ⅲを使った高校物理2

さて今回はエネルギー保存則を運動方程式から導いてみます。

力学的エネルギー保存則は、mを質量、vを速度、V(x)をエネルギーとして、

\[\frac{1}{2}mv^2 + V(x) = 一定\]

とかけます。これを運動方程式から導いてみます。

\[m\frac{dv}{dt} = F \]

の両辺に\(v\)をかけて \(t\)で積分を実行してみます:

\[\int_{t_1}^{t_2} mv\frac{dv}{dt}dt= \int_{t_1}^{t_2}Fvdt \tag{1}\]

まず(1)の左辺を見てみましょう。運動量保存則の導出と同様、置換積分の公式

\[\int_{x_1}^{x_2}f(x)dx = \int_{t_1}^{t_2}f(g(t))\frac{dx}{dt}dt\]

の右辺→左辺の順序の適用を考えます。すると

\[(1)の左辺 =\int_{t_1}^{t_2} mv\frac{dv}{dt}dt = \int_{v_1}^{v_2}mvdv \]

とでき、さらに積分を実行できて、

\[\int_{v_1}^{v_2}mvdv = \frac{1}{2}mv_2^2-\frac{1}{2}mv_1^2 \tag{2}\]

と計算できることがわかります。一方(1)の右辺を見てみます。速度\(v\)は位置\(x\)の時間変化の極限でしたので、

\[v=\lim_{\Delta t \rightarrow 0 }\frac{\Delta x}{\Delta t} = \frac{dx}{dt}\]

とかけます。したがって、再度置換積分の公式を用いると

\[(1)の右辺=\int_{t_1}^{t_2}Fvdt = \int_{t_1}^{t_2}F \frac{dx}{dt}dt = \int_{x_1}^{x_2}Fdx \tag{3}\]

と変形できます。ここで受ける力Fの形によって、いろいろな力学的エネルギー保存則を導けます。

a)重力 \(F = mg\)

積分を実行するのは簡単で、

\[\int_{x_1}^{x_2}Fdx = \int_{x_1}^{x_2}mgdx = mgx_2-mgx_1\]

よって(1)、(2)と合わせると

\[\frac{1}{2}mv_2^2-\frac{1}{2}mv_1^2 = mgx_2-mgx_1\]

移行して

\[\frac{1}{2}mv_1^2 – mgx_1 = \frac{1}{2}mv_1^2 – mgx_2\]

となり、重力の位置エネルギーの保存則が導けたことになります。

b)バネの復元力 \(F=-kx\)

この場合は一次関数の積分(数学Ⅱ)となるので、

\[\int_{x_1}^{x_2}Fdx = \int_{x_1}^{x_2}-kxdx = \left[-\frac{1}{2}kx^2\right]_{x=x_1}^{x=x_2} = -\frac{1}{2}kx_2^2+\frac{1}{2}kx_1^2\]

よって(1),(2)と合わせれば

\[\frac{1}{2}mv_1^2+\frac{1}{2}kx_1^2 = \frac{1}{2}mv_2^2 + \frac{1}{2}kx_2^2\]

c)万有引力 \(F=-G\frac{Mm}{x^2}\)

これは整関数\(x^{-2}\)の積分となるので、

\begin{equation}
\int_{x_1}^{x_2}Fdx=\int_{x_1}^{x_2}-G\frac{Mm}{x^2}dx=\left[G\frac{Mm}{x}\right]_{x=x_1}^{x=x_2} = G \frac{Mm}{x_2} -G \frac{Mm}{x_1}
\end{equation}

したがって(1),(2)と合わせて整理すると

\[\frac{1}{2}mv_1^2-G \frac{Mm}{x_1} = \frac{1}{2}mv_2^2-G \frac{Mm}{x_2}\]

d)クーロン力 \(F=k\frac{Qq}{x^2}\)

積分計算は万有引力と全く同様で整関数\(x^{-2}\)の積分です。結果だけ記載すると

\[\frac{1}{2}mv_1^2+k \frac{Qq}{x_1} = \frac{1}{2}mv_2^2 + k \frac{Qq}{x_2}\]

以上高校物理で出てくる力学的エネルギー保存則を運動方程式から導出してみました。

高校数学を高校物理に適用することで、運動量保存則やエネルギー保存の公式を導きだせることがわかったかと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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