物理に続き数学の大学以降の分野について、紹介していきます。
私は数学科出身ではなく、基本的に数学は全て独学のため、説明が微妙だったり、そもそも間違ってる部分が多分にあるかもしれません。ご了承ください。
さて現代数学の分野は、私の知る限りでは以下のような構成です。
以下注意点です。
・上に行くほど高度になっていきます。また図がグチャるのを避けるため、矢印は最も前提知識が必要であろう分野のみ書いてます。例えば関数解析学はルベーグ積分の知識が大前提で、それにプラスして複素解析の知識も必要ですが、その線は書いてないです。また作用素環論は関数解析学の知識が大前提で、それ以外に群環体などの知識も必要ですが、線は書いてないです。
・数学の分野は、ざっくりいうと1)解析、2)代数、3)幾何、に分けられます。
下段の微分積分〜数理統計学は基礎分野として、解析/代数/幾何どの分野でも必要となるものや教養として必要な分野なので、あえて分類してないです。最上部の数理物理学~数学基礎論はどの分野にわけるか微妙なものなので、明示的に分けてないです。
上にいくほど上記分類も曖昧になります。例えば力学系は解析学で扱う対象を幾何学的に調べたり、位相幾何学も代数的な手法を用いて対象を調べたりします。
・上記以外にもたくさんの分野が存在します。かなり代表的なもののみ記載してます。
さて今回は1)微分積分、2)集合論/位相空間論、3)線型代数、4)数理統計学、について紹介します。
- 微分積分
高校の数学Ⅲで出てきた極限を厳密に扱っていきます。いわゆる\(\varepsilon\)- \(\delta\)論法と呼ばれるもので、数列の極限や関数の極限、微分を定義していきます。数学Ⅲで公式となっていた、\(\lim_{n\rightarrow \infty}a_n =a, \ \lim_{n\rightarrow \infty}b_n =b\)のとき、\(\lim_{n\rightarrow \infty}(a_n+b_n)=a+b\)となることを証明したり、はさみうちの原理を証明したります。
この\(\varepsilon\)- \(\delta\)論法は、高校までの数学では使われない初めての概念が用いられるため、大学数学の最初の難関であり、かなりの学生がげふぁとなる分野のようです。
極限や微分を習得すると積分を厳密に定義します。リーマン積分と呼ばれているものですが、高校では区分求積法と呼ばれていたものです。実は区分求積法が積分の本来の定義です。積分を微分の逆演算とであることは定理であって定義ではないのです。高校のカリキュラムでは積分は微分の逆演算として導入してますが、返って積分本来の意味がぼやけてしまうため個人的には微妙に思ってます。
また\(\int dxdy f(x,y)\)などの重積分についても学びます。これは数学科に限らず理工系のほとんどいたるところで必要となる知識です。
簡単な常微分方程式も実施することが多いです。 - 線型代数
数学BやCで出てきた、ベクトルの抽象化を行います。それまでは「矢印」というイメージだったベクトルを、とある演算が定義された集合の元である、と定義するようになります。この「ある性質をみたすものは全てベクトル」という考え方が必要となり、これまた初見ではげふぁになる考え方となります。抽象化は数学に限らずいろいろな分野でも非常に重要な手法です。
その後行列についても定義します。基本的に数学Cでやった行列(年度によってはやらない可能性あり)の内容を発展させたもので、連立1次方程式の行列を使った解法や、行列式や行列の固有値/固有ベクトルなどを学びます。これらもまた理工系のほとんどいたるところで必要となる知識です。
場合によってはテンソルの概念も学んだりします。 - 集合論/位相空間論
現代数学は、集合論/位相空間論のことばで記述されているので、そこを学びます。
1)集合論
集合と写像の概念を、定義、定理、証明の順序で学んでいきます。高校までは有限集合のみを扱いましたが、ここでは自然数全体や有理数全体、実数全体といった、無限集合まで扱います。要素数が無限の場合、写像の概念を用いて無限集合の大小を定義していきます。
また実数の連続性なども集合論で扱うことが多いです。(場合によっては微積分で学ぶ場合もあります。)
2)位相空間論
\(\varepsilon\)- \(\delta\)論法をさらに一般化して、連続の定義を開集合や閉集合の概念を使って定義します。さらに集合の元と元との距離を写像を使って導入します。距離を一般化した、「位相」という概念を導入します。「位相」は現代数学のほとんどいたるところで使われる概念なので、このタイミングでしっかり理解しておくと後続の分野の接続がスムーズになります。 - 数理統計学
上記3つからするとやや毛色が違うのですが、多くの大学では数理統計学は教養数学的な立ち位置が多い気がするので、ここにしてます。
数学的に厳密に展開する場合は測度論的確率論がベースとなりますが、それを学んでからでは遅いかつ通常そこまで必要がないケースが多いので、基本的には初等確率論、微積分、線形代数をベースに展開することが多いです。
種々の確率分布を離散変数、連続変数それぞれで定義します。回帰による予測、データから確率分布のパラメータの値を調べる推定、ある仮説が正しいとしたときの確率から仮説が妥当がどうかを判断する検定があります。
近年では機械学習の理論的基礎にも使われ、実用的な数学の1つになってます。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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