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サラリーマンが関数解析を勝手に解説する無謀な記事2

こんにちは、本日は前回につづきヒルベルト空間についてふわっと解説していきます。

さて、線型空間Vは、ベクトル同士の足し算は定義されていましたが、ベクトル同士の掛け算は定義されていませんでした。ここではベクトル同士の掛け算を1つ定義していきます。いわゆる「内積」です。

DEF.4 内積空間
Vを体F上の線型空間とする。写像,:V×Vu×vu,vFが以下の性質を満たす時、V上の内積という:
1) v,v0かつv,v=0v=0
2)aFに対して、au,v=au,v
3)u+v,w=u,w+v,w
4)u,v=¯v,u
また線型空間Vと内積,の組み(V,,)を内積空間という。

なお¯xは、¯:Cx¯xCとなる複素共役をとる写像で、R上では恒等写像、つまり何も変化しない写像になります。

こちらもノルムと同様かなり数学的ですが、例えば、u=(u1,,un),v=(v1,,vn),u,vCnとすると
u,v=ni=1ui¯vi
となります。成分同士掛け算して足し合わせるという、お馴染みのものですね。

内積が定義されると、その内積を使って自然にノルムをもつことになります。というのは
uu,u
とすれば、これはノルムの公理を満たすので、ノルムになります。つまり、内積空間は内積から誘導されるノルムに関してノルム空間にもなります。

これでヒルベルト空間を定義できます。

DEF.5 ヒルベルト空間
(V,,)を内積空間とする。内積から誘導されるノルム vv,v, vV で完備になるとき、内積空間Vをヒルベルト空間と呼ぶ。

端的に言えば、完備な内積空間をヒルベルト空間といいます。

いくつか例をあげてみます。

Rnは内積u,v=u1v1+.+unvnが定義され、内積から誘導されるノルムv=v21++v2nが完備なので、ヒルベルト空間となります。

Lp空間Lp(X)においてp=2の空間L2(X)は、内積
f,g=f(x)¯g(x)μ(dx)
が定義でき、ノルムは
f=|f(x)|2μ(dx)
となる、無限次元ヒルベルト空間になります。

さて、内積が定義されると線形代数同様、「直交」という概念が定義できます。
ヒルベルト空間をVとするとu,vVに対してu,v=0となるとき、u,vは直交するといいます。

Vの部分集合Eが直交系とはu,vEに対して、u,v=0となるときをいい、さらにvEに対して、v=1となるとき正規直交系といいます。以上から完全正規直交系を定義することができます。

DEF.6 完全正規直交系
Vをヒルベルト空間とする。Vの正規直交系{vn}が以下を満たす時、完全正規直交系という。 vVに対して、 v=nv,vnvn がなりたつ。

直交という概念から直交補空間というものが考えられます。

これはヒルベルト空間Xの部分空間をVとすると、vVに対して、v,w=0となるw全体の集合を考えることができます。これを直交補空間といいます。

DEF.7 直交補空間
Xをヒルベルト空間とする。Xの部分集合をVとすると、 V{xXx,v=0,vV}Vの直交補空間という。

ヒルベルト空間Xの任意の元xXは、ある部分集合の元vVとその直交補空間の元wVの直和で一意に表すことができます:
x=v+w, X=VV 

さて、いままでの内容を見るとバナッハ空間もヒルベルト空間もCnと同じノリの話ばかりでした。ではこれらはの違う部分は何でしょうか。

それは、バナッハ空間やヒルベルト空間は無限次元である、ということです。一言で言うなれば、一般的に「コンパクト性」を満たさなくなり、いろいろめんどくさいことになります。次回以降少しみていきます。

本日はここまでにします。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
質問等はコメント欄かお問い合わせにておねがいいたします。

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