おはようございます。今回も前回に続き、関数解析を自己満で解説していきます。
前回、バナッハ空間やヒルベルト空間は、RnやCnと本質的に異なってる部分があり、それが無限次元であることでした。そして無限次元空間では有界な閉集合もコンパクト性を満たしませんでした。まずここに触れていきたいと思います。
コンパクト性についてちゃんと定義します。これは一般の位相空間上で定義される概念です。
まずコンパクトを定義するのに必要な開被覆について言及しておきます。
DEF.7 開被覆
(X,O(X))を、空でない集合XとX上の開集合全体をO(X)とする、位相空間とする。{λ∣λ∈Λ}を添字集合とする開集合の族{Sλ∣λ∈Λ}⊂O(X)で、A⊂Xを覆うことができるとき、{Sλ}λをAの開被覆であるという。つまり
X=⋃λ∈ΛSλ
が成り立つときをいう。Λは非可算濃度であってもよい。
簡単に言えば、Xの開集合でXを覆えるとき、覆ったものを開被覆といいます。
開被覆はXをとりあえず覆えればいいので、基本的に無数に存在します。
続いて開被覆の概念を用いてコンパクト性について定義します。
DEF.8 コンパクト
(X,O(X))を位相空間とする。任意の開被覆{Sλ}λ⊂O(X)に対して、ある有限個の開被覆{Sn}mn=1が存在して、{Sn}mn=1でAを覆うことができるとき、部分集合A⊂Xはコンパクトであるという。つまりA⊂m⋃n=1Sn, Sn⊂{Sλ}λ
RnやCnでは、有界閉集合は必ずコンパクトになり、逆も成り立ちます。しかし無限次元のバナッハ空間やヒルベルト空間の場合、コンパクトならば有界閉集合は必ずなりたちますが、「有界閉集合ならばコンパクト」は成り立ちません。
コンパクトというのは「任意の」開被覆に対して、いつでもそこから有限個の開集合で覆えるものが取り出せる、というものですから、有限個の開集合で覆えないパターンが1つでもあったらコンパクトでない、という感覚的にかなり強めの条件です。
ちょっと例をあげてみます。I=[−π,π]上の連続関数全体の集合C(I)を以下のように定義します。
C(I)={f | f(x)=∞∑n=−∞aneinx}
この空間の位相を
‖f‖=√⟨f,f⟩=√∫|f(x)|2dxとし(つまりヒルベルト空間)、C(I)の部分集合AをA={f∣‖f‖≤1}とすると、Aは明らかに有界閉集合になります。開集合をUn(r)={f∣‖f−einx‖<√2/2}とおくと、Un(r)全体は開被覆となりますが、Aは有限個のUn(r)で覆うことはできません。故にコンパクトではない、ということになります。
つまり無限次元の場合、有界閉集合であっても開集合が多すぎて覆いきれない、というイメージになります。
開集合が多すぎるので、少なくするような位相を新たに考える、ということで考えられたのが、弱位相といわれるものです。これはヒルベルト空間のみで定義されるものです。
DEF.9 弱位相
Vをヒルベルト空間とする。∀v∈Vに対して、点列{un}∈Vが
⟨un,v⟩→⟨u,v⟩ (n→∞)
をみたすとき、{un}はuに弱収束する、という。
コンパクト性というのは有界閉集合を極限まで抽象化した概念であるので、なかなかとっつきにくいです。がコンパクト性をもつ空間であれば、それ上の関数は最大値/最小値をもったり、連続だったりして、とても扱いやすいです。
(というか扱いやすい性質を抽出して、その性質を満たす集合をコンパクト集合とした、的な感じですね。)
本日はここまでにします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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