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現代物理学への招待4

今回は研究分野について、少しずつ触れていきたいと思います。

  • 素粒子論
    その名の通り素粒子を扱う分野です。原子は原子核と電子に分けられ、原子核は陽子と中性子に分けられ、さらに陽子はクォークに分けられます。
    素粒子論はクォークや電子(一般にはレプトンという。)、その間に働く相互作用を記述する理論になります。相互作用の種類は、1)「重力」、2)「弱い力」、3)「電磁気力」、4)「強い力」の4種類あり、そのうち素粒子論は2)~4)を扱います。群論のことばを使うと\( \mathrm{SU}(3)\times \mathrm{SU}(2) \times \mathrm{U}(1)\)という形で与えられ、これを標準模型と呼んでいます。最後まで未確認だったヒッグス粒子も2012年に発見され、標準模型に登場する粒子は全て実在が確認されています。

    現在4つの力は別々の力として認識されていますが、高エネルギーでは全て統一していたのではないか、と言われています。現状2)と3)の統一には成功してますが、4)の統一はまだうまくいってません。この試みを統一理論と呼んでいます。
    統一理論を考える上で、新たな対称性があるのではと仮定すると、2)~4)をうまく統一できる可能性があります。超対称性と呼ばれるもので、フェルミ粒子に相方のボーズ粒子がいて、ボーズ粒子の相方にフェルミ粒子がいるというものです。これは実証されていない対称性で、ヒッグス粒子の存在が確認された今、次に実在を確認したい粒子の一つであり、CERNなどの超大型加速器で精力的に実験が進められている最中となります。

  • 量子重力理論
    弱い力、電磁気力、強い力は場の量子論によって記述できてますが、重力は一般相対論で記述されています。4つの力を統一的に記述するには、必然的に場の量子論と一般相対論を統合する必要が出来てきます。これは場の量子論で使ってきた手法を重力に適用すると、物理量が発散してしまい、使い物にならなくなります。このため重力の量子化は困難を極めます。

    量子重力理論の候補はいくつかありますが、ここでは二つ紹介します。
    アプローチの仕方として、
     a)場の量子論をもとにして、一般相対論を取り入れる
     b)一般相対論を元に場の量子論の効果を入れていく
    がありますが、a)の例が超弦理論(もしくは超ひも理論)、b)の例がループ量子重力理論となります。
    超弦理論はメディアや書籍でもたまに取り上げられる理論です。これは場の理論における粒子は大きさのない点として扱われますが、実はこれが点ではなく一次元の紐が振動していると考えるものです。また数学的な整合性から超ひも理論ではこの世界の時空間は10次元で、余剰次元6次元はコンパクトにまとまっていて、4次元時空間のみが広がる、という描像を持ちます。
    超弦理論はブラックホールのエントロピーを導出できるなど、様々な成果が得られており、量子重力理論の最も近い候補となってますが、実験でその正当性を確認できてなく、数学的な仮説の域を出ないのが実状です。メディアや書籍で超ひも理論は実証された最先端の理論である、という記述を見かけますが、それは正しくありません。単に数学的に不整合がない理論であるにすぎなく、自然科学は理論と実験が合わさって初めて成立するものなのです。物理学の理論となるにはもう少し実験結果が必要と思われます。
    ということで要求される数学レベルも超高度になります。もはや数学なのか物理学なのかよくわかんない領域です。
    一方ループ量子重力理論は時空を量子化します。つまり時空は連続ではなく、不可分な最小の単位が存在して、それらが積み重なって4次元の時空が構成される、というものです。超弦理論とは違い、時空そのものを直接扱うため、ループ量子重力理論から時空のダイナミクスを決めることができ、理に適っています。(これを専門用語で背景独立といいます。)
    とはいえ重力の量子化に目が置かれすぎて、既存の場の量子論との接続が課題となります。
  • 宇宙論
    宇宙の構造や歴史を扱う分野です。量子重力理論や素粒子論とも関係が深い分野です。
    最新の実験結果から、全宇宙のエネルギーのうち、我々が知る物質は宇宙全体の5%程度で、27%が未知の物質が存在し、その残りの68%が未知のエネルギーが存在するであろうことがわかっています。27%の未知の物質をダークマター、未知のエネルギーのことをダークエネルギーと呼んでいます。ダークマターの有力候補に超対称性粒子が挙げられており、スイスのCERNで精力的に実験が進められています。ダークエネルギーの正体はほぼ不明で、いまでは真空のエネルギーという理解が一般的です。真空と聞くと何もない空っぽの空間、というイメージをもつのが普通です。場の量子論によると、真空は「場」同士が相互作用することで対生成や対消滅がいたるところ起きている舞台、と解釈しています。これ以上はほとんどわかっていません。
    宇宙は微妙に加速膨張していることがわかっており、その効果を考慮するとアインシュタインが「人生最大の過ち」といって取り下げた、宇宙項\(\Lambda\)を重力方程式に入れることが多いです。
    問題なのはこの宇宙項が圧倒的に不自然に小さく( \(10^{-120}\)よりも小さいオーダー )、その小さいメカニズムを解明するのもこの分野の使命となっています。超弦理論を使ってこのメカニズムを説明しようとする動きもありますが、まだ有力な結果は得られてません。(超弦理論のランドスケープ問題)
    宇宙の最初、原始宇宙は超高エネルギーであるため、必然として量子重力、素粒子論の知識も必要となります。スケール大きい宇宙の話をするのに、クォークやひものような極微の話の知識が必要になるとは、物理学の醍醐味ですね。
    まだまだいろいろあるのですが、キリがなくなるので今回はこれくらいにしておきます。

今回はここまでにします。もしよろしければ以下の記事もご覧ください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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