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サラリーマンが場の量子論を勝手に解説する無謀な記事

こんにちは、けんじです。

今回、現代物理学の招待3で場の量子論について、少し深く解説していきます。

1)場
まず「場」についてです。これは一言でいうと

時間と空間を引数にもつ物理量全般

のことを言います。ちょっと例をあげてみましょう。

  • 天気予報などで、日本地図と各代表都市の温度が記された場面を見たことがあると思います。気温は都市によって温度が違いますから、空間に依存していると言えます。また朝は涼しく、昼は暖かく、夜は冷えたりして、気温は時間にも依存していると言えます。つまり各地の気温は「場」になります。
  • もうひとつ天気予報で風の予報も見たことがあるかと思います。これも場です。風の大きさや向きは都市によって違いいますし、朝昼夜でも変わってきます。つまり空間と時間に依存している物理量のため「場」と言えます。

気温は各時間と各空間でスカラー(値のみ保有する)を記述する場なので、スカラー場と呼ばれ、
風は各時間と各空間でベクトルとなるので、ベクトル場と呼ばれています。

その他物理量にはテンソルやスピノルというものがあり、それらに対応するテンソル場やスピノル場がありますが、身の回りの現象ではなかなかないので、おいおい説明していきます。

2)場の定式化

場を定量的に表すため、数学を使って定式化していきます。場は「時間と空間を引数にもつ物理量全般」でしたから、文字で表すと\(\psi (x,t)\)、xを位置、tを時刻として表すことができます。
xやtで微分する記号を、\(\partial_t=\partial/\partial t,\ \partial_x = \partial/\partial x \)と略記します。

さて急ですが、次のような関数を考えます。

\[
\mathscr{L}=\mathscr{L}(\psi,\partial_t\psi ,\partial_x\psi)
\]

これは場\(\psi\)と場の時間と空間の微分\(\partial_t\psi,\partial_x\psi\)の関数になっている量を考える、という意味です。


\(\partial_t\partial_t\psi,\ \partial_t\partial_x\psi \)などの他の引数は必要ないのか、という疑問が出てくるかと思いますが、シンプルにするため一旦上記のみとしています。あまり多くの引数があっても式が複雑になるので、最初はシンプルな形で考える、というくらいの気分です。

\(\mathscr{L}\)の性質を調べるため、この量を時空間全体にわたって積分したものをSとします:\[
S=\int dxdt \mathscr{L}(\psi,\partial_t\psi,\partial_x\psi)
\]

記号が煩雑になるので、\(x^{\mu}=(t,x)^{T},dxdt = d^4x\)とします。 \(d^4x\)ですが、位置\(x\)は一般に三次元で、それに時間も加えると\(d^4x\)となります。
さらに\(A^{\mu}B_{\mu}=A^tB_t-A^xB_x\)すると
\[
S=\int d^4x \mathscr{L}(\psi,\partial_\mu\psi) .
\]
このSについて、場\(\psi\)と場の時間空間微分\(\partial_\mu \psi\)をほんのちょっとだけ変化したときの大きさ\(\delta S\)を評価してみます。

\[
\delta S = \int d^4x\left\{\mathscr{L}(\psi+\delta\psi,\partial_\mu\psi+\delta\partial_\mu\psi)-\mathscr{L}(\psi,\partial_\mu\psi)\right\} \tag{1}
\]

ここで\(\psi\)の変化を\(d\)ではなく\(\delta\)という記号を使いました。その理由は、「数」の微小量ではないためです。普通の積分で出てくるような「\(dx\)」は普通の数\(x\)の微小量を表す写像\(\ d:\mathbb{R}\ni x \rightarrow dx\subset \mathbb{R}\)を意味します。この写像の定義域は数(実数)なのです。
一方\(\psi\)はすでに数ではなく、\(x,t\)の関数となってます。この関数の形を少し変える操作が必要なため、定義域が数である\(d\)を使うことはできず、代わりに\(\delta\)を用います。
※厳密には\(d\)は多様体上の外微分として定義されますので、上記はやや雰囲気的な説明になってます。
\(\delta\psi,\delta\partial_\mu\psi\)を微小な量とすると、テーラー展開して、2次の微小量は無視すると

\[
\mathscr{L}(\psi+\delta\psi,\partial_\mu\psi+\delta\partial_\mu\psi)
=\mathscr{L}(\psi,\partial_\mu\psi) +\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta \psi}\delta\psi
+\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta\partial_\mu\psi}\delta\partial_\mu\psi \tag{2}
\]

となります。(2)を(1)へ代入すると

\[
\delta S = \int d^4x\left\{\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta \psi}\delta\psi
+\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta\partial_\mu\psi}\delta\partial_\mu\psi\right\} \tag{3}
\]

ここで(3)の第2項に部分積分を適用してみます。すると

\[
\int d^4x\left\{\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta\partial_\mu\psi}\delta\partial_\mu\psi\right\}
=\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta\partial_\mu\psi}\delta\psi\bigg |_{無限遠}
-\int d^4x\partial_\mu\frac{\delta\mathcal{L}}{\delta\partial_\mu\psi}\delta\psi \tag{4}
\]
無限遠となる積分領域の境界では場\(\psi\)はゼロになるため、その変化\(\delta\psi\)もゼロになると考えるのが自然です。ゆえに(4)の第一項はゼロとできます。したがって

\[
\delta S = \int d^4x\left\{\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta \psi}
-\partial_\mu\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta\partial_\mu\psi} \right\}\delta\psi \tag{5}
\]

となります。もし場を少しだけ変えてもSが変化しない、つまり\(\delta S=0\)となる条件は(5)より

\[
\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta \psi}-\partial_\mu\frac{\delta\mathscr{L}}{\delta\partial_\mu\psi}=0 \tag{6}
\]

が導かれます。これをオイラーラグランジュ方程式といいます。

つまり、\(\psiと\partial_\mu\psi\)の関数\(\mathscr{L}\)は、場を\(\delta\psi,\delta\partial_{\mu}\psi\)と少し変えてもその積分\(S=\int d^4x\mathscr{L}\)が不変である、というかなり緩い条件のみから(6)式は導出されているので、かなり一般的な式となります。

上記のSを作用といい、汎関数の一種となります。関数の形を少しだけ変える(\(\psi\rightarrow \psi+\delta\psi\))ことを変分(または汎関数微分)といいます。作用という汎関数を変分することで物理法則が得られる、という要請を変分原理とよびます。これは物理学全体に適用される基本原理となります。

今回はここで終わります。場の量子化などは次回以降実施していきます。

最後まで読んでくださりありがとうございます。
質問等はコメント欄もしくはお問い合わせにてよろしくおねがいいたします。

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