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書評 積分論/測度論

  • ルベーグ積分と関数解析

ルベーグ積分の基礎から始めて、関数解析まで解説する書籍。最初はルベーグ積分を横に切る話から始まりますが、気づいたら公理論的に展開していくようになります。1冊でルベーグ積分と関数解析を凝縮しているため、基本的な事柄は演習問題に回してます。ただしその解答はないため、各自で適宜補完する必要があり、独習には向かないかもしれません。
内容としては、1次元のルベーグ測度から始めて可測関数、ルベーグ積分とつづきます。1次元の話がひと段落すると測度の一般論に進み、トピック的には標準的な内容かと思いますが、
入門書には珍しい、ビタリの被覆定理の説明があります。この証明に関しては賛否が分かれるところかと思います。その後一般的な関数解析の話に進んでいきます。

最近新版が出て、上記の問題も改善されたようです。さらに関数解析にスペクトル分解も追加されたようです。自分が読んだのは旧版で新版の方は読んでませんが、これから読むのであれば新版の方がよいように思います。

  • 数理物理学方法序説 複素関数論

名前は複素関数論ですが、前半はルベーグ積分について解説しており、複素解析を測度論や関数解析の立場から俯瞰するというなかなか異端的な本。複素平面は\(\mathbb{R}^2\)に同相なので、2次元ルベーグ測度を導入している。ルベーグ積分と超関数の話をしたあとに複素関数論に入っていきます。ざっくりルベーグ積分と複素解析の入門を知りたい場合には良いかと思います。一点突っ込みをいれるとすれば、この本は高校二年性から読めるとまえがきで豪語してますが、どう考えても無理です。

  • 入門 確率解析とルベーグ積分

現代確率論はルベーグ積分を基礎として展開されており、そこに焦点を当てた書籍です。いきなり抽象的な定義をするのではなく、議論が進むにつれ徐々に数学的に厳密に定義していくスタイルをとっています。ルベーグ積分と確率論の全くの初学者には向いてるかと思いますが、現代数学のスタイルに慣れてる人には逆にまわりくどく感じるかもしれません。


  • 量子力学の数学的構造Ⅰ、Ⅱ の付録

この書籍は量子力学を関数解析を使って厳密に論理展開していくものですが、かなり説明が丁寧で、本編付録も同様です。付録の位置付けのためもちろん全ての定理に証明が記載されているわけではないですが、十分詳しく書かれています。Ⅰ巻、Ⅱ巻どちらにも同じ付録が付いてます。
この本の付録で基本を学び、証明の記載のない定理はネットや他の書籍で補えば十分学ぶことができます。中身としては、ボレル集合族と測度、可測関数、極限、絶対連続などルベーグ積分の説明をしてから、少し確率論の説明を加え、フーリエ解析、超関数の話題になります。


  • ルベーグ積分入門(新装版)

ルベーグ積分をじっくりガチでやるにはこの本がおすすめです。私は通読できてませんが、じっくり学ぶにはこの本が最もよいかと思われます。
ルベーグ測度を導入して、可測関数、集合代数と説明が進みます。その後測度空間の発展として関数空間の説明に入り、フーリエ変換に至ります。本の雰囲気的に分厚く敷居が高いイメージですが、説明が丁寧です。最近上のURLのような新装版が出て、とっつきやすくなったかと思います。

2021/10/01 追記
読みたくなったときは近所の図書館から拝借してきてましたが、さすがに面倒くさくなったので、購入しました。集合論の基礎から出発しているので、多少集合と位相の知識があれば問題なく読み進められるかと思います。もっと前に買っておけばよかったです。汗

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