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書評 場の量子論

ここでは場の量子論の参考書について、あげていきます。「場」ってそもそも何なのかについてはこちらも参照ください。理解の助けになれば幸いです。

  • ゲージ場の量子論

場の量子論の正統的な教科書。かなり昔に一度読んだのですが、当時はなかなか知識が追いついてなく、難易度高めでしたが、現在さっとみてみるとコンパクトにまとまっていて、良書と思われます。なかなか難易度高めなので、独学で場の量子論を学ぶ際はいきなり本書籍に入るのではなく、ざっくり書かれた他の書籍を読んだ上で、本書籍に臨んだ方が挫折しにくいと思います。

場の量子論の一般論を展開する書籍なので、ファインマンダイアグラムを用いてガンガン摂動計算ができるようにはならないので、計算練習したい場合は別の書籍がいいです。
群や関数空間など数学用語が随所に出てくるので、群論や関数解析を知っていると理解が深まります。
1巻のBRST対称性は筆者の独擅場ということもあり、かなり詳細まで書かれています。なかなか難しい部分もありますが、相当貴重かと思います。
1巻では主に場の量子化がメインで、2巻では自発的対称性の破れと繰り込みがメインとなります。


  • 演習 場の量子論

場の量子論の演習書です。自分が読んだのは旧版の方ですが、なかなかコンパクトにまとまっています。初見でいきなり問題みてすらすら解ける問題はそれでいいですが、すこし考えてわからなければ一度解説を読み、本を閉じて再現できるか試していくのがよいかと思います。ここで注意なのですが、これは暗記するのではなく、論理/道筋を自分で組み立てられるかどうかが重要です。論理があいまいなままで計算をすすめても迷子になるだけなので、まずは論理/道筋を自力で立てられることに専念した方がよいです。


  • 場の量子論(裳華房フィジックスライブラリー)

場の量子論の専門書はかなり分厚く初学者がいきなり分厚い本を読むのは厳しいです。
例えば上記で紹介したゲージ場の量子論ⅠⅡをあわせると500ページ超え、ワインバーグの本ですと1000ページを超えてきます。
まずは場の量子論の全体像をざっくり把握することが重要ですが、そのためには本書籍がおすすめできます。
200ページ前後ではありますが、場の量子論の最低限必要な事柄はコンパクトにまとまっているので、まずはこの本に挑戦するのがよいかと思います。

  • 素粒子論はなぜわかりにくいか

一般向けに書かれた書籍です。素粒子論が難しいのは、その基礎理論である場の量子論に触れずに無理やり説明するからだ、という一貫した立場で解説しており、個人的に一般向けの啓蒙書の中では最高峰の解説書と思います。場が励起することで粒子っぽくふるまったり、波っぽく振舞ったりするだけで、物理的本質は「場」です。
場の量子論を概観を知りたい場合に最初に読む本としても十分価値があります。

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