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書評 ファイナンス/金融工学

  • ファイナンス理論入門

ファイナンスに関して私はど素人ですので、基礎の「キ」から読もうとしていて、近所の図書館で物色していたときに見つけて拝借した本です。ファイナンスってどんなことやるの?というのを知りたい時に最初に読むと良い本です。個人的にかなりわかりやすかったです。ファイナンスの専門分野は数学をもろに使いますが、本書は最低限に抑えられており、中学数学+アルファの知識があれば難なく読めます。内容としては、
1)先物に代表させるオプションのプライシング
2)資産資本理論(CAPM)
3)リスク管理
であり、ファイナンスの代表的なトピックを扱ってます。あくまで入門書ですので、この本を通読した後、興味あるトピックについて詳しく書かれた書籍にチャレンジするとよいかと思います。


  • マルチンゲールアプローチ入門

個人的にかなりおすすめです。デリバティブ価格理論に関する書籍でこの分野では飛び抜けてわかりやすい書籍かと思います。
デリバティブ価格の決定理論には、測度論的確率論、確率過程論を用いて論理展開されてまして、ずぶの素人が気軽に手を出せるものではないのが実情です。
前書きにも記載があるのですが、この本は価格理論で使用される各種定理の証明は初めから眼中になく、定理の使い方に特化して、解説しています。証明はそれこそ確率論を酷使しますが、使うだけであれば、そこまで確率論の専門知識を必要としません。
(とはいっても微分積分や微分方程式、初等確率論など大学教養数学の知識は必要です。)

ただ、途中式がものすごく丁寧です。ちゃんと見れば目で追えるレベルの丁寧な式変形で、ここまで親切なのは他に見たことがないです。独学にもとてもおすすめできます。

この本は金融実務家を対象にしているだけあり、金融の業務知識はある程度知っている前提で話が進むので、ただのサラリーマンにはややきつかったです。。そのあたりは別の書籍やネット記事で補完する必要があります。

こちらでも紹介しましたが、付録の確率論入門の入門も秀逸ですので、ここだけでも一読の価値ありです。

  • 数理ファイナンスの基礎

うまく画像が出てこないので、ここにもアマゾンのリンクを貼っておきます。

近所の図書館で拝借した少しレアな本です。あくまで「数理ファイナンス」の基礎ですので、そこは誤解しないようにお願いします。

可算濃度の標本空間&離散時間の確率過程を前提にしてますが、基本的にガチの測度論的確率論を駆使して、市場が完備(裁定取引がない)であることと同値マルチンゲール測度が存在することが同値であることを厳密に証明していってます。非可算濃度の標本空間や連続時間の確率過程を扱うには周到な数学的な準備が必要なので、それらを扱わないようにして、数理ファイナンスの考え方を解説する、というコンセプトはなかなか素晴らしいのでは、と個人的に感じています。
内容としては、
 第1章 確率の基礎理論
 第2章 離散確率過程
 第3章 確率解析
 第4章 証券市場と数理ファイナンスの基本定理
 第5章 証券市場の確率差分方程式
 第6章 数理ファイナンス基本定理の証明
といった章立てになっており、確率論の基礎~確率過程~数理ファイナンスの流れになっています。

本筋には何の影響もないですが、1点指摘を挙げるとするとヒルベルト空間の章で、位相空間のコンパクトの定義を見ると、点列コンパクトの定義の内容になっているので、そこはいい感じに読み替えることが必要です。ただ本書籍では距離空間までしか扱わないので、コンパクト性と点列コンパクト性は同値になり結果的に影響はないですが、、少し微妙な感はあります。

全体的に見れば、連続無限の煩雑さに囚われることなく数理ファイナンスの考え方を学べるので貴重な一冊かと思います。

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