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書評 経済学

  • 現代経済学の直感的方法

経済学専攻でない人が経済をざっくりを知りたいときに重宝する書籍です。かなり分厚いですが、説明がわかりやすく、すらすら読めます。どちらかというとマクロ経済寄りの話が多いです。

どうだ、工夫されていて読みやすいだろう、という感じがところどころあって少しあれな部分もありますが、全体的に教養として学ぶには悪くないと思います。
マクロ経済の式 国民所得 = 消費 + 投資 の意味や、好景気のときインフレが起きやすい原因などがとてもわかりやすく、筆者の説明力の高さが伺えます。

ただ、最後の章はやや著者の意見が強く、経済学のコンセンサスにはなっていないので、そういう前提で読んだ方がいいです。「作用マトリクス」という概念を持ち出していますが、作用マトリクスで経済全体を記述できるかは全く自明ではないです。しかしここで云わんとしていることは、要素還元主義は限界がある、ということであり、その点においてはとても賛同できます。

要素還元主義の限界については、最近出た話ではなく、物理学者アンダーソンによる「more is different(多は奇なり)」という言葉があるように物理学の分野では昔から知られている概念です。著者は元々物理学出身なため、そういった考え方自体に慣れていたのかと思われます。

最後に目次を紹介しておきます。
 第1章 資本主義はなぜ止まれないのか 
 第2章 農業経済はなぜ敗退するのか 
 第3章 インフレとデフレのメカニズム
 第4章 貿易はなぜ拡大するのか 
 第5章 ケインズ経済学とは何だったのか 
 第6章 貨幣はなぜ増殖するのか 
 第7章 ドルはなぜ国際経済に君臨したのか 
 第8章 仮想通貨とブロックチェーン 
 第9章 資本主義経済の将来はどこへ向かうのか 


  • 大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

大学4年間のxxxを10時間で学べるシリーズの第一弾の経済学です。

本書籍で扱うトピックとしては大学4年間で学ぶ内容なのかもしれませんが、さすがに各トピックの内容は薄く、あくまで教養レベルです。経済学部4年間の経済学の内容ではなく、大学1年/2年で履修する教養科目の経済学+αくらいの内容かと思われます。数式を用いた説明もほとんどなく、ことばだけで説明するものが多いです。

題名がやや誇張されている感も否めないですが、、本書籍でざっと全体を俯瞰したあとに興味がある分野を別の書籍で本格的に学んでみる、という形で扱うとよいかなと思います。

内容としては、経済学とは何かという話からはじまりマクロ経済とミクロ経済の主要なトピックを解説してます。


  • ミクロ経済学 静学的一般均衡理論からの出発

専門的なミクロ経済学の教科書です。
軽いノリで挑むと挫折必至で、正直ミクロ経済学の初学者にはおすすめできないです。
かなり数学的な記述を多用しており、現代数学の基礎としての集合論に慣れていないと太刀打ちできない内容です。

ミクロ経済学という名を冠していますが、IS-LM分析等といったマクロ経済の内容や、歴史的/哲学的な事柄にも言及しており、一通り経済学を学んだ人が深く理解するための書籍、という位置付けな感じがします。

とはいえ、ここまで厳密に示唆の富んだ記載してくれる書籍はなかなかなく、これを読み切れれば経済学専攻の入り口には余裕で立てるかと勝手に思ってます。
※かくいう私も当初は集合論の理解が足りずに途中で挫折したクチです、、いずれまた読み返したいです。

内容としては以下の通りです。
 第1章 基礎的概念
 第2章 個人の選択と社会の状態
 第3章 消費および生産の理論
 第4章 均衡分析とその応用
 第5章 経済学的均衡の存在・一意性・安定性及び動学
 第6章 不完全競争・市場の失敗・非対称情報
 終 章 経済学という世界観
※さらに詳細の目次が知りたい場合はミネルヴァ書房さんのページを参照お願いします。

  • 経済数学の直観的方法 マクロ経済学編

近所の図書館から拝借して読んだ本です。啓蒙書と専門書の中間的なレベルの書籍です。
元々物理学出身の著者が書いた経済数学の本で、マクロ経済学で唐突に使われる数学について、全体像や経緯を物理学になぞって展開しています。
背景の説明から入っており、なぜそこでその数学が使われるかが明確になるため、頭に残りやすいのですが、こういった背景の説明は既存の経済学の専門書には少ないので、なかなか貴重な書籍かと思います。
理系文系どっちも知らないとこの表現はできない的な記載が多く、著者はどっちも知ってますけど何か、的な感じがして少しあれな気がしますが、たしかにこのご時世もはや理系文系という分類自体が時代遅れであることは賛同できる事実かと思います。
本書籍で具体的に扱っているのは、ざっくりいうと
・マクロ経済学でのラグランジュアン/ハミルトニアン
・変分と最適化問題、
・行列の固有値、
・位相空間論と関数解析の初歩
etc.といった感じです。

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