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書評 化学

  • フロンティア軌道論で化学を考える

その名の通り、フロンティア軌道論の書籍です。フロンティア軌道論はざっくりいうと、原始核から最も遠い電子の軌道を使って扱うもので、いわゆるHOMOやLUMOという概念を使って、原子や分子がどう反応するか予測する理論で、量子力学をベースにした理論です。日本の化学者福井謙一さんが提唱したということでも有名です。

ざっくり目次は以下の通りです。
1.原子のフロンティア軌道
2.軌道相互作用の原理
3.フロンティア軌道論
4.フロンティア軌道と化学結合
5.フロンティア軌道と分子の安定性
6.フロンティア軌道と分子構造
7.官能基と酸・塩基の強度
8.フロンティア軌道と化学反応

フロンティア軌道論が量子力学を前提とする以上、本書の前提知識とて量子力学の基本事項は必要かと思います。といってもヒルベルト空間論を使うような抽象的な理論というよりかは、水素原子のシュレディンガー方程式を解いた結果出てくるような知識です。フロンティア軌道論の基本的な事柄と応用例をさまざまな分子を用いて説明しており勉強になります。

原子価によるボンドの化学結合論とは一線を画す、現代化学の入口に誘う良書かと思います。

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