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一般サラリーマンの資産形成の話 -NISA・長期・分散・積立-

こんにちは。

前回の記事では、一般サラリーマンの資産形成において、まず大事なのは「入金力」だという話を書きました。

資産形成というと、つい「何に投資すればいいのか」「どの商品が一番儲かるのか」という話に目が行きがちです。

ただ、毎月投資に回せる金額が少なければ、どれだけ優れた投資先を選んでも、増える金額自体は限られます。

なので、まずは入金力。

そのうえで次に考えたいのが、入金したお金をどこに置くか、という話です。

個人的な結論としては、かなりシンプルです。

一般サラリーマンの資産形成では、NISAを使って、長期・分散・積立で運用するのが、もっとも再現性が高いと思っています。

もちろん、短期売買で大きく儲ける人もいますし、個別株で成功する人もいます。ヘッジファンドやオルタナティブ投資のような世界もあります。

ただ、多くの人にとって再現性が高いかというと、そこは別問題です。

今回は、なぜ自分が「結局NISAで長期・分散・積立が強い」と思っているのか、勝手に整理してみます。


この記事でわかること

  • NISAが資産形成において強い理由
  • 税金がリターンに与えるインパクト
  • 高齢期の社会保険料と金融所得の小ネタ
  • 個人投資家がプロと同じ土俵で戦う難しさ
  • 一般サラリーマン向けの基本ポートフォリオの考え方
  • 長期・分散・積立がなぜ再現性の高い戦略だと思うのか

NISAは制度として強い

まず、NISAは制度としてかなり強いです。

通常、特定口座などで株式や投資信託を売却して利益が出ると、譲渡益には税金がかかります。

上場株式等の譲渡所得等は、基本的に所得税15%、住民税5%に加えて、復興特別所得税(所得税額の2.1%、税率換算で0.315%)が上乗せされ、合計で一般に20.315%が課税されます。

つまり、100万円の利益が出ても、約20万円は税金として持っていかれるということです。

これはかなり大きいです。

一方、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税です。

2024年以降の新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円、合計で年間360万円まで投資できます。非課税保有限度額は合計1,800万円です(うち成長投資枠は1,200万円が上限)。

この枠の中で得られた利益が非課税になるわけです。

これは、普通に考えてかなり強い制度だと思っています。

投資で年率数%のリターンを上げることは、簡単ではありません。プロのファンドマネージャーであっても、市場平均を安定して上回り続けるのは難しいです。

それなのに、NISAを使うだけで、将来の利益に対する約20%の税負担を避けることができます。

下手に高い利回りの商品を探すより、まずNISAを使い切る方が、よほど確実なメリットがあると思っています。

資産形成において、税金は確実に発生するマイナスリターンです。

そのマイナスリターンを制度上ゼロにできる。

そう考えると、NISAは一般サラリーマンにとって、最優先で活用すべき制度だと思っています。

ただし、フェアに書くなら弱点もあります。

NISA口座で発生した売却損は、特定口座など課税口座の利益と損益通算できませんし、翌年以降への繰越控除もできません。含み損を抱えたまま売ってしまうと、その損失は税制上「なかったこと」として扱われます。

とはいえ、これは短期で売買を繰り返し、含み損のタイミングで売却してしまうケースで効いてくる話です。長期・分散・積立を前提にして、暴落しても売らずに持ち続けるなら、そもそもこの弱点が顔を出す場面自体が少なくなります。

「NISAは良いことしかない」と思い込むのではなく、こういう裏側も知ったうえで使う方がフェアだと思っています。

小ネタ:高齢期には金融所得が社会保険料に効くこともある

少し細かい話ですが、金融所得は高齢期の社会保険料にも影響することがあります。

特定口座・源泉徴収ありの場合、確定申告をしなければ、上場株式等の譲渡所得や配当所得が国民健康保険料や後期高齢者医療保険料などの算定に含まれないケースがあります。

一方で、確定申告すると所得として扱われ、保険料に影響する可能性があります。

このあたりは制度変更や自治体によって扱いが変わる可能性があるので、実際に判断するときには確認が必要です。

ただ、少なくとも「金融所得をどう課税・申告するか」は、所得税や住民税だけでなく、社会保険料にも関係してくる論点です。

そう考えると、NISAで最初から非課税にしておくことの価値はかなり大きいです。

単に税金が安くなるというだけでなく、将来の取り崩し時にも扱いがシンプルになります。

若いうちはあまり意識しないかもしれませんが、資産形成は最終的には取り崩しまで含めて考える必要があります。

その意味でも、NISAはかなり使いやすい制度だと思っています。

個人投資家がプロと同じ土俵で戦うのは難しい

自分は昔、確率論や金融工学、場の量子論、トポロジカルデータ解析などを使って、市場の大局的な推移を予測できないかと考えていました。

ウィーナー過程、幾何ブラウン運動、確率微分方程式。経路積分。パーシステントホモロジーやPersistence Landscapeを時系列分析に使えないか、といったことも考えていました。

いかにも数学や物理をかじった人間が考えそうな話ですし、勉強していて純粋に面白い分野でもあります。

ただ、ある程度勉強していくと、だんだん分かってきます。

仮に理論を完全に理解できたとしても、それだけで市場に勝てるわけではありません。

市場で短期予測や裁定取引をしている相手は、クオンツ、ヘッジファンド、証券会社、マーケットメーカーなどのプロ集団です。彼らは数学だけでなく、大量のデータ、高速な計算資源、専用の取引インフラ、低い取引コスト、リスク管理体制、実務経験を持っています。

もし仮にクオンツレベルの数学力があり個人がMac一台でそれっぽいモデルを作ったとしても、分析基盤のもつプロ集団に挑むのは、竹槍で戦車に挑むようなものです。

正直、これは勉強すればするほど、「あ、これは個人が片手間で戦う世界ではないな」と思うようになりました。

数学や金融工学を勉強すること自体は、市場の構造やリスクの意味を理解する上で意味があります。ただ、それを使って個人が短期売買でプロに勝つ、というのは別問題です。

インデックス投資が強い理由は、長期では成長してきたから

そもそも、なぜインデックス投資が強いのか。短期ではかなり上げ下げが大きいものの、長期で見ると株式市場は成長してきたからです。

たとえば、S&P500は米国の大型株を代表する指数であり、S&P Dow Jones Indices も「米国大型株の最良の単一指標として広く認識されている」と説明しています。また、同指数は米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。

S&P500の長期チャートを見ると、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックなど、途中で何度も大きな暴落が起きています。1年単位で見ればマイナスの年もありますし、数年単位で停滞することもあります。

それでも、10年、20年、30年という長い期間で見ると、S&P500は大きく上昇してきました。

インデックス投資は、明日上がる銘柄を当てるゲームではありません。市場全体、もっと言えば企業利益と経済成長の長期的な流れに乗るゲームです。

もちろん、これは過去の実績であって、将来を保証するものではありません。ただ、少なくとも過去の長期データを見る限り、短期の大きな上下動を飲み込みながら、長期では上昇してきました。だからこそ、個人投資家にとっては、短期の値動きを当てるより、長期で市場に居続けることの方が大事だと思っています。

大事なのは、暴落を避けることではありません。暴落が来ても退場しないことです。

暴落を完全に避けようとすると、結局タイミング投資になります。いつ売るのか、いつ買い戻すのか、その判断を毎回当てる必要があります。これはかなり難しいです。

それよりも、自分が耐えられるリスク量に調整したうえで、長期で持ち続ける。これが一般サラリーマンにとって、もっとも再現性の高い戦略だと思っています。

個人投資家の勝ち筋は「予測」ではなく「仕組み」

では、個人投資家には勝ち筋がないのか。

そんなことはないと思っています。

むしろ、個人投資家には個人投資家の強みがあります。

それは、プロと同じゲームをしなくてよいことです。

プロの運用者は、四半期や年度ごとの成績を問われます。顧客への説明責任もあります。資金流出リスクもあります。ベンチマークとの比較もあります。

一方で、個人投資家は、他人に運用成績を説明する必要がありません。

10年、20年、30年という時間軸で、淡々と積み立てることができます。

短期的な市場予測でプロに勝とうとするのではなく、世界経済や企業利益の長期的な成長に乗る。

これが個人投資家の基本戦略だと思っています。

つまり、個人投資家の勝ち筋は「予測」ではなく「仕組み」です。

  • 入金力を高める
  • NISAを使う
  • 低コストの商品を選ぶ
  • 長期で持つ
  • 分散する
  • 積み立てる
  • 暴落しても退場しない

非常に地味です。

ただ、再現性は高いと思っています。

基本ポートフォリオは株式50%、債券30%、金・コモディティ20%

では、具体的にどのようなポートフォリオを組むべきか。

ここは人によって考え方が分かれるところです。

年齢、収入、家族構成、住宅ローンの有無、リスク許容度、性格によって、最適な比率は変わります。

そのうえで、個人的に一般サラリーマン向けの基本形として考えているのは、以下のような比率です。

資産クラス比率役割
株式50%長期的な成長を取りに行く
債券30%値動きの緩和、守りの役割
金・コモディティ20%インフレ、通貨不安、株式・債券と異なる値動きへの分散

株式は長期的な資産成長の中心です。

世界経済や企業利益の成長に乗るという意味では、株式はポートフォリオの主役になると思っています。

ただし、株式100%だと値動きが大きいです。

暴落時に耐えられず売ってしまうと、長期投資の前提が崩れてしまいます。

そこで債券を入れます。

債券は株式ほど大きなリターンを狙うものではありませんが、歴史的にはポートフォリオ全体の値動きを抑える役割を果たしてきました。

ただし、これは常に無条件に効くわけではありません。たとえば2022年の利上げ局面のように、インフレと金利上昇が同時進行すると、株式と債券がそろって下落し、分散効果が薄れる局面もあります。「債券を入れておけば安心」と過信せず、そういう局面もあると知っておくくらいがちょうどいいと思っています。

さらに、金などのコモディティも一定程度入れておく。

金は利息や配当を生みませんが、インフレや通貨価値の不安、地政学リスクなどに対する分散資産として機能することがあります。

正直に言うと、この50/30/20という比率に「これが理論的な最適解」というような厳密な導出があるわけではありません。年齢・収入・リスク許容度によって最適な比率は変わるからです。

なので、この比率が自分にとって妥当かどうかは、勘や気合いではなく、実際に数字で確認してみるのがおすすめです。初期投資額・積立額・資産配分を入力すると、モンテカルロシミュレーションで将来の資産分布や暴落確率を試算できるツールを用意しているので、よければ使ってみてください(シミュレーターはこちら)。自分の比率が、暴落時にも投げ売りせずに済みそうか、資産が枯渇しない設計になっているかの目安になると思います。

もちろん、この比率が万人にとって絶対の正解というわけではありません。

リスクを取れる人は株式60%でもよいと思います。

インフレや通貨価値の毀損が気になる人は、金・コモディティを30%にしてもよいかもしれません。

値動きが怖い人は、株式を40%にして債券や現金を厚めにしてもよいと思います。

大事なのは、理論上の最適解を探すことではありません。

自分が暴落時にも投げ売りしないで済む比率にすることです。

積立の強みは、判断を減らせること

積立投資のよいところは、毎回の判断を減らせることです。

相場が高いのか安いのか。 今買うべきなのか、待つべきなのか。 円高なのか円安なのか。 米国株がよいのか、全世界株がよいのか。

毎回考えていると、疲れます。

そして、人間は疲れると判断を間違えます。

積立設定をしておけば、相場が高いときも安いときも、淡々と買い続けることができます。

もちろん、積立だから必ず儲かるわけではありません。

ただ、少なくとも「買うタイミングを当てる」という難しいゲームからは降りることができます。

個人投資家にとって、これはかなり大きいです。

投資で一番難しいのは、実は商品選びよりも、続けることかもしれません。

一度設定して、あとは淡々と続ける。

この仕組みを作れるのが、積立投資の強みだと思っています。

長期投資で一番大事なのは、退場しないこと

資産形成で一番大事なのは、天才的な予測を当てることではありません。

退場しないことです。

暴落時に売らない。 生活防衛資金を残す。 リスクを取りすぎない。 よく分からない商品に大金を入れない。 他人の爆益報告に振り回されない。 自分のペースで積み立てる。

このうち生活防衛資金は地味に重要です。生活費の3〜6ヶ月分くらいを現金で確保しておくと、暴落中に急な出費や収入減が重なっても、投資分を取り崩さずに済みます。逆にここが薄いと、相場が悪いタイミングで生活費のために売らざるを得なくなり、長期投資の前提そのものが崩れてしまいます。

これだけでも、かなり大事です。

個人投資家が短期売買でプロに勝つのは難しいです。

しかし、NISAを使って、長期・分散・積立で資産形成を続けることはできます。

これは、プロと同じ土俵で戦うのではなく、個人投資家に有利な土俵で戦うということです。

まとめると

前回の記事では、資産形成ではまず入金力が大事だと書きました。

今回は、その入金したお金をどう運用するかについて書きました。

個人的な結論としては、一般サラリーマンは、NISAを使って、長期・分散・積立で運用するのがもっとも再現性が高いと思っています。

もちろん、もっと高度な投資手法はあります。

金融工学、確率論、デリバティブ、ヘッジファンド、オルタナティブ投資、トポロジカルデータ解析による市場分析など、面白い世界はいくらでもあります。

ただ、個人投資家が資産形成をする上で、本当に大事なのは、難しい理論で市場を予測することではないと思っています。

入金力を高める。 NISAを使う。 長期で持つ。 分散する。 積み立てる。 退場しない。

結局、これが一番強いです。

地味ですが、再現性があります。

一般サラリーマンの資産形成においては、この「地味だけど続けられる仕組み」こそが、最強の戦略だと思っています。

そんなわけで、NISAと長期・分散・積立について、勝手に整理してみたという記事でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。ご質問やコメントはお問い合わせからよろしくおねがいします。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言を行うものではありません。投資にはリスクが伴い、過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。実際の判断にあたっては、ご自身の状況に応じて、必要に応じて専門家にご相談ください。